【なぜ】男性のDV被害相談が過去最多に:社会の変化と支援の現状

近年、男性のドメスティックバイオレンス(DV)被害相談が急増し、2023年には過去最多の2万4684件に達しました。 

これは、従来「DVの被害者=女性」という固定観念があった社会に大きな変化が起きていることを示しています。

本記事では、なぜ男性のDV被害が増えているのか、社会の変化や現状の問題点、そしてネットの反応を交えながら詳しく解説します。


目次

男性のDV被害が過去最高に

近年、男性が配偶者や恋人から受けるドメスティックバイオレンス(DV)の被害相談が急増しています。

警察庁によると、2023年(令和5年)の男性からのDV相談件数は過去最多の2万4684件で、5年前の1.5倍、約20年前の170倍に達しました。

これは全体のDV相談(8万8619件)の27.9%を占めています。

被害の実態:暴言や性行為の強要も

横浜市のNPO法人には、DV被害に悩む男性の相談が増加しています。

例えば、関東地方の40代男性は、妻から「お前はATMだ」と暴言を浴びせられ、性行為を強要され、拒むと裸で寝ることを強いられたといいます。

このような精神的・身体的暴力により、うつ病を発症し、仕事を辞めざるを得なくなったケースもあります。

また、夫婦間で殴り合いが発生するケースや、男性が一方的に暴力を受ける例もあると警察幹部は指摘。

以前はDV相談者のほぼ全員が女性でしたが、現在では月20〜30人の男性が相談に訪れるようになっています。

男性向けの支援体制が求められる

徳島市の支援団体「白鳥の森」では、男性被害者向けの自助グループを設立し、被害者が支援員となる取り組みを進めています。

白鳥の森

参加者からは「妻に包丁で追いかけられた」「被害を外に話すのが恥ずかしく、相談できなかった」といった声が上がっています。

一方で、日本では男性向けの避難施設(シェルター)がほぼ存在しないのが現状です。

広島大学の専門家は、被害の増加に伴い、男性向けのシェルターの整備と周知が急務だと指摘しています。


なぜ被害が増えているのか

男性のドメスティックバイオレンス(DV)被害相談が増加している背景には、以下の要因が考えられます

社会的意識の変化

従来、DVは女性が被害者、男性が加害者という固定観念が強く、男性被害者は相談しづらい状況にありました。

しかし、男女平等意識の高まりや、DVに関する啓発活動の進展により、男性も被害を訴えやすい環境が整いつつあります。

警察庁は、男性が被害を訴えやすい社会的環境の変化が背景にあるとみています。  

相談窓口の整備と周知

DV防止法の施行以降、配偶者暴力相談支援センターや警察などの相談窓口が全国的に整備され、被害者が相談しやすい体制が構築されました。

男女共同参画局

これにより、男性被害者も支援を求めやすくなったと考えられます。

被害の顕在化

以前は「男性が被害を訴えるのは恥ずかしい」といった社会的風潮がありましたが、近年ではそのような意識が薄れ、隠れていた被害が表面化してきています。

これにより、男性からの相談件数が増加しているとされています。

ネットの反応

男性のDV被害増加に関するニュースに対し、インターネット上ではさまざまな意見が寄せられています。

  • 男性もDVの被害者になり得るが、社会的な偏見が根強く可視化されにくい。
  • 男性のDV被害は女性のものとは異なり、特に精神的・経済的DVが深刻。
  • 男性向けの相談窓口や避難施設が不足しており、支援体制の拡充が必要。
  • 貧困層ほど家庭内の争いが増える傾向があり、経済的余裕があればDVは減る可能性がある。
  • 司法や社会の風潮が女性側の主張を優先し、男性の意見が軽視されることが多い。
  • 報道の偏りを見直し、男性のDV被害も公平に扱うべき。

また、イギリスで行われた社会実験では、男性が女性に暴力を振るう場面では周囲がすぐに介入する一方、女性が男性に暴力を振るう場面では笑って見過ごされる傾向があり、DVに対する性別による認識の差が指摘されています。  

さらに、スイスではDV被害者の4人に1人が男性であるにもかかわらず、男性向けの保護施設が不足しており、社会的支援の必要性が議論されています。  


まとめ

男性のDV被害相談が急増している背景には、社会的意識の変化、相談窓口の整備、被害の顕在化といった要因があります。

しかし、依然として男性向けの避難施設や支援体制は十分とは言えず、さらなる整備が求められています。

また、ネット上の反応からも、DVに対する性別による認識の差や、男性被害者への支援の不足が浮き彫りになっています。

今後、あらゆる被害者が適切な支援を受けられる社会の構築が急務となっています。

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