2025年に入り、日本国内で「令和の米騒動」と呼ばれる事態が発生しました。スーパーや米穀店では米の価格が急騰し、一部では品薄状態に。
農林水産省の調査によると、2024年の米の生産量は前年比18万トン増加していたにもかかわらず、市場に出回る量は21万トン減少していました。
この異常事態の背景には、本来米の流通とは関係のない業者が、大量の米を買い占めていたという実態が浮かび上がっています。
特に、中国系スクラップ業者が農家と直接取引を行い、米を大量にストックしていたとの報道も。さらに、政府が2月14日に21万トンの備蓄米を放出することを決定し、今後の市場の動向にも注目が集まっています。
米の買い占め騒動とは?21万トンの米はどこへ消えた?
2024年の米の生産量は前年よりも増加したにもかかわらず、消費者のもとへ届く米の量は大幅に減少しました。
お米の価格、5キロ4000円に。政府備蓄米の放出で「1~2割値下がりも」との予測https://t.co/c3vXIpuzuN
— 日本経済新聞 電子版(日経電子版) (@nikkei) February 14, 2025
流通の多様化でJAなど主要ルートに流れるコメが21万トン減少。政府はその「消えた」量に相当する備蓄米を放出します。
さらに、2025年に入ってから、政府の調査によって「消えた21万トン」の存在が明らかに。
この大量の米が、従来の流通ルートを通らず、ある特定の業者によって市場から隔離されていた可能性が指摘されています。
では、なぜ米の流通量が減ったのか?どこへ消えたのか?過去の米騒動と比較しながら、詳しく見ていきましょう。
米の生産量は増えたのに、なぜ米不足が発生?
2024年の米の生産量は前年より18万トンも増加していました。しかし、市場に流通する米の量は逆に21万トン減少。

需要が増えたわけでもなく、自然災害による被害もないのに、なぜ米が不足しているのか?
その理由として、複数の業者が投機目的で米を買い占めたことが影響していると考えられています。
特に、新規参入した業者が農家と直接取引を行い、JA(農協)などを通さずに米を集めたことで、通常の流通ルートに乗らない米が大量に発生したのです。
21万トンの米が消えた理由|従来の流通システムの崩壊
日本の米の流通は、通常、農家 → JA → 卸売業者 → 小売店 というルートをたどります。

特に、スクラップ業者など、これまで米の流通と無関係だった企業が突然市場に参入し、大量の米を買い占め。
これにより、JAを通じた流通量が大幅に減少し、結果として市場に出回る米の量が不足したのです。
「令和の米騒動」と「平成の米騒動」の違いとは?
1993年にも「平成の米騒動」と呼ばれる米不足が発生しました。この時は天候不良による凶作が原因で、カリフォルニア米やタイ米が緊急輸入されたほどでした。
過去、1993年には、『平成の米騒動』と呼ばれた状況がありました。
— 羽鳥慎一モーニングショー (@morningshow_tv) August 20, 2024
この時は、記録的な冷夏と長雨による大凶作で、国産米が品薄になり、政府は、タイやアメリカなどから、計259万トンのお米を緊急輸入しました。 pic.twitter.com/vCTtKh3tZU
供給量が十分にあるにもかかわらず、特定の業者が市場をコントロールし、価格を吊り上げていた点が大きな違いとなっています。
【特定】米を買い占めたのは中国系スクラップ業者?投機目的の実態
今回の騒動で注目されているのが、中国系のスクラップ業者など、異業種の企業が米市場に参入し、買い占めを行っていたという点です。
なぜ彼らは米を買い占めたのか?その目的や手口について詳しく見ていきます。
中国系スクラップ業者の買い占め手口|農家からの直接買付け
通常、日本の農家はJA(農協)を通じて米を販売します。
【緊急】米21万トン買い占めの戦犯、ついに特定される
— ALPHA (@alfalfaGeinow) February 14, 2025
スクラップ業者が利益目的で買い集めているらしい pic.twitter.com/667i59lFWR
農家側も高く買ってもらえるため、JAを通さずに売ることを選択するケースが増加。その結果、市場には流通せず、特定の業者の倉庫に米が蓄積される事態になったのです。
マスク買い占め事件と類似?転売ヤーの動きも活発化
今回の米騒動は、2020年のマスク買い占め事件と酷似しています。

米騒動でも同様に、買い占めた業者が「価格が上がるまで待つ」ことで市場をコントロールし、適切な供給を妨げているという状況が発生しています。
トレーサビリティシステムで判明した買い占めの実態

このシステムによって、「どの農家から、どの業者が、どれだけの米を買ったのか」を追跡できる仕組みです。
農水省の調査では、通常流通するはずの米が大規模に買い占められていた実態が浮き彫りに。この結果、中国系スクラップ業者などの関与が明らかになったのです。
政府の備蓄米放出で市場は安定するのか?
政府は2025年2月14日、米の高騰を抑えるために備蓄米21万トンを市場に放出することを正式に発表しました。
コメ買い付け“投機の対象” 異業種&外国人参入で高騰か 備蓄米21万トン放出へ
— テレ朝news (@tv_asahi_news) February 16, 2025
▼詳しくは画像をタッチ
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これまで備蓄米は、主に災害時や凶作時に放出されるものでしたが、今回は異例の対応となります。
この決定により、3月末から4月にかけて米の価格が3~4割下落する可能性があると専門家は予測しています。一方で、米を買い占めていた業者が大量に売り抜けを始める可能性もあり、市場の混乱は続くかもしれません。
消費者にとっては価格が下がるのは朗報ですが、品質管理が不十分な米が流通するリスクも指摘されています。
備蓄米放出が市場にどのような影響を与えるのか、詳しく見ていきましょう。
21万トンの備蓄米放出で価格は3~4割下落する?
農水省は備蓄米放出のスケジュールを発表し、3月初旬から入札を開始、3月下旬にはスーパーなどの店頭に並ぶ見込みとなっています。

この動きにより、専門家は「米価格は3~4割下がる可能性が高い」と分析。
実際に、過去の事例でも政府が市場介入した際には価格が大幅に下がったケースがあるため、一定の効果が期待されています。
消費者としては、価格が下がるまでの動向を見極めながら、賢く買い物をすることが重要です。
買い占め業者の「投げ売り」が始まる可能性も?
政府の備蓄米放出が発表されると同時に、米を買い占めていた業者の間で「売り抜け」を急ぐ動きが見られています。

特に、スクラップ業者などの新規参入業者が抱えている米は、保管設備が不十分なため品質が劣化しているリスクも指摘されています。
こうした業者が「在庫処分」のために投げ売りを始めれば、市場価格は急激に変動する可能性があるのです。
一方で、安売りが始まることで、消費者が「今が買い時」と判断し、一気に買いだめに走る可能性もあります。そうなると、市場の在庫が偏り、供給が不安定になりかねません。
消費者が注意すべきポイント|品質の劣化・流通ルートの確認
今回の備蓄米放出や買い占め業者の動向によって、市場に出回る米の品質が一定ではない可能性が高まっています。そのため、消費者は以下の点に注意しながら米を購入することが重要です。
① 突然の安売りに警戒する

投げ売りされる米の中には、適切な温度管理がされていないものや、古米が混ざっている可能性があります。
極端に安い価格で販売されている米は、品質面で問題がないか慎重にチェックしましょう。
② 流通ルートが明確な米を選ぶ
特に、パッケージに産地や出荷時期が明記されているものを選ぶと、品質の確保がしやすくなります。
③ 購入時に消費期限や保存状態を確認する
米の品質は保存状態によって大きく左右されます。

購入時には、袋が破れていないか、湿気の影響を受けていないかなどをしっかり確認し、適切な保存がされている米を選ぶことが大切です。
政府の備蓄米放出によって、3月末から4月にかけて米の価格は下がる見通しですが、それに伴い市場に混乱が生じる可能性もあります。
買い占め業者が投げ売りを始める中で、消費者が適切な判断をし、安全な米を購入することが求められます。
今後の市場動向を注視しながら、適切なタイミングで米を購入することが重要です。
まとめ:米の買い占め問題と今後の市場動向
2025年の「令和の米騒動」は、特定業者の買い占めが原因でした。2024年の米生産量は増えたのに、流通量は21万トン減少。その多くが中国系スクラップ業者に買い占められ、市場価格が高騰しました。
政府は21万トンの備蓄米を放出し、3~4割の価格下落を見込んでいますが、業者の投げ売りで市場の混乱が続く可能性もあります。
消費者は、極端に安い米の品質に注意し、信頼できるルートで購入することが重要です。今後の市場動向を注視しながら、慎重に対応しましょう。

